名古屋高等裁判所 昭和27年(う)8号 判決
原判決が所説のように茶箪笥一本、黒靴一足、皮手袋一組白靴一足の各没収をしていることは記録上明らかなところである。而してこれ等物件について所説のように領置手続のなされていないことも亦記録上明らかなところである。けれども領置手続を経なくとも必ずしも所説のように没収の対象の確定せられないものとはいい難く従つて領置手続は所説のように没収の要件でなく、領置せられていない物件と雖も没収の条件を具ふる限りこれを没収しても何等違法でないものと解する。尚原審で取調べられた証拠によるも被告人の本件検挙当時右茶箪笥及び白靴が所説のようにその提供者に各返還せられていた事実はこれを認めがたくたゞ白靴は修繕のため一時靴屋に預けてあつたのに止り結局右各没収物件が原判決言渡当時何れも被告人の所有に属しておりこれを確定しえられないことのないことが一件記録上認められるので原判決における右の没収の措置には何等所説のような違法の疑は認められないので論旨はこれを採用しない。